大判例

20世紀の現憲法下の裁判例を掲載しています。

最高裁判所第二小法廷 昭和25年(れ)123号 判決 1950年6月16日

主文

本件再上告を棄却する。

理由

弁護人栄寿竹の再上告趣意について。

論旨は原審における被告人に対する公判期日の通知書には庁印もなく、裁判長の署名捺印もないから適法な通知書ではなく、從って原審では公判期日の適法な通知がないこととなり、かかる違法の手続を是認した原判決は憲法三一條違反であるというのであって、所論は一応憲法三一條違反を以って原判決を攻撃しているのであるから再上告理由として適法のもののようであるが、原審は合憲的な刑事訴訟の手続に從い審判をしたものであることは本件記録上明らかであって、憲法三一條違反を理由とする論旨は当らない。所論原審の公判期日通知書に形式上の瑕疵があったとしても、それは單に刑事訴訟法の手続に違背するか否かの問題であって、憲法違反の問題ではない。それ故これを再上告の適法な理由として認めることはできない。

よって刑訴施行法二條旧刑訴法四四六條に從い主文のとおり判決する。

この判決は裁判官全員一致の意見である。

(裁判長裁判官 塚崎直義 裁判官 霜山精一 裁判官 栗山 茂 裁判官 小谷勝重 裁判官 藤田八郎)

自由と民主主義を守るため、ウクライナ軍に支援を!
©大判例